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ライアン・マッギンレー『 BODY LOUD 』展を見て、彼が「スター」であり続けてる理由が分かった。

Jul 01 2016 Sayaka Umezawa

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アメリカの「もっとも重要な写真家」と言われるライアン・マッギンレーの個展に行ってきました。

展覧会『 BODY LOUD! 』

ライアン・マッギンレー・・・一部の写真・アート好きはご存知かと思いますが、広くは知られてないと思うのでご説明しますね。

2003年・25歳のライアンは、史上最年少でNYのホイットニー美術館で個展を開催して「スターダム」に昇りつめました。そして今日まで13年間ずっと「スター」であり続けてる人です。

彼の作品が何でそんなに注目されたかというと・・・

◎アメリカの写真カルチャーの定石である「キッズたちのストリートカルチャー(スケート、音楽、パーティ、ゲイ、ドラッグ)」を記録できる立ち位置にいた。(たまたまいてラッキーだけど、写真家としては立派な才能のひとつだと思います)

◎万人にアピールする類まれなポップカルチャー・センスがある。

◎現代的なメディア(広告、雑誌、ファッションアイテム、インテリア)に映える写真をとる。

聴衆の興味やニーズから見た理由は色々あると思うんです。
なんだけど、正直、私には「なんでそんなに人気があるのか、よく分からん」ところが今まであったんです。

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彼の写すイメージは凄くはっきりしてます。というか非常に限られてます。

◎青春
◎裸
◎光と影
◎アメリカの路上と街

以上。
これ、たぶん、写真というジャンルのものすごく王道・定石です。
その王道・定石をスッととって、限られた調味料で味付けしてるという印象です。

どんな事でもそうですけど、最初は知識やテクニックや歴史を知らないからシンプルにやろうとすると思うんです。

ポーカーを初めてやる人はカードを揃えることしか考えられない。
株をやる人は、とりあえず良さそうな銘柄をなんとなく買う。
でも、そのうち、色々な知識や経験が入ってくると、人や市場の手を読んだり、裏をかこうとしたり、複雑な上がり方をしようとしたり。途端に難しく考えはじめる。
でも、株やギャンブルの法則では、最強なのはシンプルな王道・定石だと言います。

アートや写真を勉強した人だったら、気恥ずかしくて真正面からいけない王道・定石をライアンは臆することなく選んでるのかもしれません。

さて、ライアンが在籍していたアートスクルール(パーソンズ)には、山のように才能も知識も高い同級生たちがいたと思います。
彼らの中には「他に才能がある人がいっぱいいるのに、何であいつが成功するの?」っって、すごくライアンを悪くいう人もいると聞きました。
成る程なあ、と思います。
自分の軸で選んだことを迷いなく続けるか、人の成功を羨む感覚でじりじりしているか・・・・。

どちらが自分の人生として納得できるかな?
私はどっちの感覚をとってるかな?

と想像してみました。

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彼の代表シリーズの1つは、友人のモデルたちとアメリカを一緒にアメリカ大陸を横断しながら、牧歌的で平和な風景にモデルたちが裸で駆け回る「ロードトリップ」。

 

で、今回個展を見ていて、気づいたんです。
そんな事をストレートにずっと続けられる感性の持ち主だというのが何よりも彼の魅力だってことに。

そんな風な彼の「スター然」としたところが、吹っ切れてて、良い。
「とにかく作品がよくて評価されるタイプ」と「その人がつくる作品だから評価されるタイプ」の2つの志向があるとしたら、ライアンは後者タイプ・・・やっぱり評価されてるように「スター」タイプなんじゃないかな?

さて、私なりにライアンの作品を大斬りしてみるならば・・・
「アメリカの夢と青春のかげろう写真」です。

ゆらゆら揺れるように儚い「かげろう」。
不思議な色と光の織りなすリアリティと夢の境が曖昧な「あの世」の世界。

彼の作品に出てくるモデルたちはみんな素人の友人たちで、ほとんどがヌードです。
そして、「多分アメリカのどこか田舎だね」みたいな匿名の牧歌的な自然の中で、モデルたちが半分トランスしたようなポーーーーーッとした表情でポーズをとってる。

「この世」じゃないんです。

たぶん彼の感性は「あの世」の「かげろう」センサーだけで出来てるんでしょう。「かげろう」を「この世に」映し出し、「目に見える形で広げる」というとっても実際的な能力も高いのがライアンのとっても面白い部分です。

人って、アートって、魅力的ですね。

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ライアンを見てて、思いました。
アートの世界の評価を気にしたら、こうはなれなかったと思う。

で、本人はこれしか出来ないし、これが出来ること。
やっぱり、人は魅力をひらくと、それまでハンディキャップに感じてたこと自体が他にない強みになるんだね〜。

ライアン・マッギンレー 「アメリカで最も重要な写真家」と評された写真家、ライアン・マッギンレー